第3回近未来連句交流大会【NPO法人俳句&連句と其角主催】


入選作品6巻、選外参考作品1巻


●入選 十二調「 午後二時の」 游の会(捌 明美)

  午後二時の葉裏へ回るてんと虫         中根明美
   五方の民に驟雨篠突く            中澤京子
  人間に人間学科進化して            瓜田紀子
   ジンベイザメの皮はヤスリに         林 瑞泉
  月光の椅子にギターを寄り添はせ        細谷朋々
   この世に垂るる紐のいろいろ           瑞泉
  閉店の貼り紙破れたるままに          黒田みゑ
   ままかりの飯櫃の底尽く             朋々
  積ん読の机上累卵地震がきて          和田波流
   無言館には窓ありませぬ           神戸よう
  リラ冷えの沖に停泊異国船           古舘千世
   頬に目薬余す春宵                紀子

                  2017年8月15日首尾
                   本厚木「アミュー」

●入選 非懐紙二文字尻取り十四句「傘斜め」 下町連句会(捌 江窓哲子)

  傘斜め秋雨の坂恋偲び             江窓哲子
   のび太君から爽やかな文          鈴木ちかひ
  踏石に腰掛け仰ぐ月揺れて           鈴木すず
   レディーメイドのスーツ半額         櫻田野老
  学生街あの喫茶店今もあり             すず
   アリア流して寒紅を引く           白石一有
  日暮れ時心の棘の凍りつき           高山英子
   付きっきりでの夫の看病             哲子
  幼稚園年中からの縁なれば            ちかひ
   レバーの煮物好きなあの人            すず
  一泡を吹かせて呷る芋焼酎             野老
   優柔不断それで今日まで             英子
  待てばしばし花は桜木人は武士           哲子
   富士山麓に鸚鵡鳴く春             ちかひ
            首尾/2017年10月12、10月20日
                         処/亀戸梅屋敷

●入 選 非懐紙「追憶」非懐紙研究会( 衆議判)

  追憶の浮き沈みたる虚栗            中澤柚果
   古酒酌みかわし眺む霽月           中尾美琳
  分断を共存の世へ変えるらん          竹村半掃
   ドブ板通りスカジャンでジャズ        大塚丈湖
  ラテン語の活版印刷深夜二時             琳
   裏窓しめて君に壁ドン               果
  ドーベルマンわれの死後まで生きるなよ        湖
   細胞内は蛇の抜け殻                掃
  大正池逆さ穂高の夕焼して              果
   音声入力エラー連続                琳
  盗まれた家伝宝刀蚤の市               掃
   阿修羅の像に抱かれてみよ             湖
  遠火事の甍の波は黒々と               琳
   道化役者の銀色の靴                果
  正気狂気はざまの花に酔いしれて           湖
   零の空間曲がる遅き日               掃

    首尾/平成二十九年十月二十九日〜十一月一日 文韻
 
●入 選 非懐紙「騙し絵」河童連句会(捌 硯水)

 十吟非懐紙十八句「騙し絵」の巻
  騙し絵のマンモス駆ける野の錦           矢崎 硯水
   アルタミラにて冬を待つ人            嵯峨澤衣谷
  骨董屋言葉巧みに呼び込んで            佐藤ふさ子
   宝探しに目を皿にせん              三神あすか
  石神の御利益ありて結ぶ縁             夷藤ゆう子
   バージンロード埋める紅薔薇           山口 安子
  ガラス戸をつつき斑鳩が囃したて          杉本さとし
   不老長寿の妙薬を呑む              渡邉 常子
  「なんだ坂こんな坂」とて九十九折         軍司 路子
   顎のしゃくれた冴え冴えの月             あすか
  二国間ヘイトスピーチいつまでも             硯水
   浮世のことは総て有耶無耶               安子
  飲兵衛がおんぶお化けに取り憑かれ         矢崎 妙子
   座右の書には江戸の黄表紙               常子
  窓越しにQの字えがく早瀬あり             ふさ子
   花のワルツに足も軽やか                衣谷
  肩組んでみんなで平和祈りつつ             さとし
   山並み青き旅立ちの朝                 執筆

                  平成二十九年八月二十日起首
                         十月七日満尾

入 選 非懐紙「前頭葉」非懐紙研究会(捌 硯水)

  夏立つや前頭葉を撫でてみん              矢崎硯水
   目高の群れる大き水槽                中尾美琳
  少年の嘘は嘘とてきらめける              大塚丈湖
   Dバッグ掛け子午線の旅                 硯水
  ロンドンは今日も雨ですBBC                美琳
   扉にひそむ銀の鈴虫                   丈湖
  たかまがはら雲井の曲の凄まじさ              硯水
   軛の果てに嫦娥戯れ                   美琳
  さり気なく本音の毒を含ませて               丈湖
   アングラ劇の顛末の妙                  硯水
  テーブルの上の荒野に鴉鳴き                美琳
   激辛料理緑酒添へられ                  丈湖
  雪景色「いいね!」と眺め写楽顔              硯水
   しゃらくせえのは大統領で                美琳
  狂いつつ狂はざる詩を捧げれば               丈湖
   河童ミイラはまこと灼然                 硯水
  花冷えのよもつひらさか分け入らむ             美琳
   夕東風浴びて雀躍りの婆                 丈湖

                   首 平成二十九年六月十六日
                         尾 七月十一日

入 選 非懐紙「曼珠沙華」河童連句会(捌 硯水)

  子狐のけんけん跳びや曼珠沙華              矢崎硯水
   あれみっけたよ糸の新月                伊藤哲子
  図らずもリニア試乗に招かれて                硯水
   ごあいさつには仏語少々                  哲子
  座禅組み作麼生説破はじまらん                硯水
   真直見つめ無のムのむ                   哲子
  山小舎で冷酒呑むのも久しぶり                硯水
   女だてらに股団扇する                   哲子
  ひとりごと楽しむ詩人赤面症                  同
   沼を覗けば波立てる沼                   硯水
  あの窓の君ら憲法学ぶらん                  哲子
   蛍の光雪の明かりよ                    硯水
  慈善鍋シロガネーゼは札束を                 哲子
   イエズス様の先祖帰りか                  硯水
  父の待つ果ての果てなる葛折                 哲子
   心の旅路たどりゆく旅                   硯水
  花を友愛する日本を目覚めさせ                哲子
   IT遣って龍は天へと                   執筆

                     2017年9月10日起首
                          9月30日満尾

入 選 賜餐「更科」豊玉連句会(捌 竜尾)

  更科の俤塚や蛇の衣                 熊澤初江
   腹ごしらえは腰の豆飯               赤井竜尾
  夏館廊下に人の影もなし              佐藤ふう車

   コンテナ船の招かざる客                 江
  コレクション増えてうれしい古酒の壺            尾
   レアもの好きのグルメなあいつ              車

  鮟鱇のLLLの胴まわり                  江
   冬ごもりして物語練る                  尾
  初めてのカフェラテ甘く君の朝               車

   サラリー安いが一緒になろう               江
  ゆったりと花のひと時飛鳥山                尾
   蜃楼につき立入禁止                   車

                 首 平成二十九年七月二十八日
                 尾       八月 十七日

参考作品 演歌「半熟の」俳諧コミューン(捌 龍一)

 一連
  半熟の月へ開いてゆく扉               松澤龍一
   芙蓉のやうな女人たりしが             野村路花
  秋の暮易の灯薄き掌を待ちて                龍
   儚い幸が売物になり                   花
  遠距離のふたりを急かす発車ベル              龍
   弱冷房の車輛をさがし                  花
 二連
  夏蝶のこつそり止まる件(くだん)の背            龍
   逃げ行く先に鴎群れ飛び                 花
  塩で皮タレでぼんじり安酒場                龍
   左遷の町にママの微笑み                 龍
  お揃いの手袋はずし涙拭く                 花
   高梨沙羅はK点を越え                  龍
 三連
  「AU REVOIR」また明日ねと切るスマホ       花
   下着売り場にファドの流れる               龍
  自慢です家庭料理もデザートも               花
   花階段にジタン燻らし                  龍
  糸遊に託した夢を語りあい                 花
   風に向つて春泥の道                   龍

      首尾 平成二十九年九月二十五日/御徒町「ルノアール」

※新連句形式「演歌」について。
六句三連、長句九句、短句九句の十八句から成る。男女の両吟が望ましい。
一連では「別れ」を二連では「涙」を三連では「夢」をどこかに詠む。
春夏秋冬、月、花は適当に全巻に鏤める。
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